日本人が民族的特性といっていいほど苦手にしているのが、最悪の事態を想定して、それを避けるために何をしなければいけないかを考える「リスク管理」の思考法である。

英米のアングロサクソン系や北欧の人々は、「What' If――(もし~だったらどうするのか?)」という仮定法による論理的な応答が、日常の会話にも頻繁に出てくる。言語学的にも「このままだとこうなるから、そうならないためには」という議論をしやすい。

原爆を落とされるまで戦争を止められなかったのが日本人の性だ。悲劇的な結末が見えていながら、なお「なんとか打開しよう」とは考えない。日本人は、原爆のおかげで戦争が早く終結、多くの日本人の命も救われたというアメリカの言い分に頭から反発する。だが「こうすれば原爆を落とされずに戦争を終わらせることができた」という日本人に、私は会ったことがない。

「What' If――」は企業のマネジメントにとっても重要だ。最悪の事態を想定して、事が起きる前に直す。企業の場合、事が起こってしまえば売却先さえも見つからずに全員が路頭に迷うことになる。事が起きる前に社員に危機感を持たせる。最悪と言われる選択肢でも敢えて取る。それがいい経営者であり、リーダーの役割である。