ある日本の空調設備メーカーは、流通網やサービス網の強化を通じては他社に差をつけることができず、丈夫で信頼性が高い代わりに、高価な一連の業務用エアコンを開発することにした。このメーカーは技術志向の会社であったから、ことはきわめてうまく運んだ。うまくいかなかったのは、事実が証明するとおり、造ったものを売ることだった。

まったくの話、同社は一パーセントのシェアさえも獲得できなかった。それも、経営陣が考えたこともない理由からだった。銘柄(ブランド)を選ぶ際の真の意思決定者は販売店だが、その販売店が苦心の新系列製品を受け入れてくれなかったからある。しかし、なぜ?

機械の据え付けは、普通二人が一組になって行なう。新製品は重過ぎて、二人の力では持ち上げることができなかったからだった。

このメーカーは、自社の重要な機能のすべてについての戦略的な意味合いを十分に検討することもせず、すぐさま技術という持ち札に訴える、お得意の解決法に飛びついてしまったのである。