私たちを“活用”して現地を支援してほしい

――昔、マーサーにいるときに取締役になる人のコンピテンシーモデルを研究して、結果9つ出てきたのですが、その一つが「政治力」なんです。これってユニバーサルでしょ。話を戻しますと、日本において寄付をするって行為やNPOって、認識が独特ですよね。

はい。私も団体に関わるまではよく知りませんでした。「寄付文化がない」というよりも、「まとまった額を頼まれたことがない」という人が多いように思います。機会がなかっただけだと思うので、今は頼んでみています(笑)。

――寄付というのは物乞いとは“まったく”違いますよね。

それはまったく違います。寄付は決して上下関係ではありません。誤解を恐れずにいうならば、機会を提供させていただいていると思っています。私たちはアジアやアフリカで教育支援をするプロであり、私たちを“活用”して現地を支援する人を募っています。寄付者からは「こういう機会をくれてありがとう」と言っていただけることが多く、こうしたお気持ちは心から嬉しく思います。ただし、そこまでになるためには、現地でしっかりプロジェクトが動いていること、それに対する誠実な説明、また、信頼関係も必要になりますね。

近年、個人寄付者には自分の出したお金がどう使われるのだろうと、気にする人が多くなってきている。これはとてもいいことだと思っています。

――趣旨を理解すればなにか応援したいという人は多いですよね。大きな額でなくとも支援はできるのですか。

はい、100円から支援できます。100円あれば、現地語の書籍を1冊提供することができます。

――こうした寄付というのは一種のTAXなのだと思うんです。TAXには「アクティブなTAX」と「リアクティブなTAX」というのがあって、われわれにはリアクティブTAXが多く課せられていて、自分の税金の使い道を選べない。要するに税は所得の再配分でありそれによって世の中をよくするというものですが、そこに自分の主体性がもてるというのはとてもいいことですよね。今は税金代わりに団体へ寄付を行える仕組みはあるのでしょうか。

NPOも認定NPOを取得すると個人からの寄付も減税対象になります。この認定を受けている団体自体が日本ではまだまだ少ないのですが、私たちもぜひ取得したいと思っています。