2012年6月1日(金)

カレーの玉ねぎは50分炒めると旨味最大

プレジデントFamily 2011年8月号

大塚常好=構成 市来朋久=撮影 塩出尚子=撮影協力
先生:人間総合科学大学人間科学部健康栄養学科准教授 玉木雅子

先生:玉木雅子/人間総合科学大学人間科学部健康栄養学科准教授
「食品学」が専門。 玉ねぎの研究は助手・講師時代に行ったもの。現在は高校生の食生活の実態調査などを行っている。 二児の母。


 

暑くなると無性に食べたくなるカレー。子供から大人まで人気があり、手間もかからず、一度に多くの食材を食べられるといったことで、家庭料理の象徴というべきメニュー。ある調査では、東日本大震災後、カレーが家庭で作られることが多くなったそうだ。
この定番メニュー、味を上げる秘訣に「玉ねぎをあめ色に炒めて甘味を出すこと」とよく聞くが、なぜ玉ねぎは炒めると甘味がでるのだろうか。

――生の状態で食べると玉ねぎは大変辛いですが、長く炒めると甘味が出るといわれますが、どうしてですか?

 

先生 玉ねぎはもともと辛くないのですよ。包丁で切ったり歯でかんだりして細胞組織が壊れることで、辛味のもととなる硫黄化合物と、それとは別のところにあった酵素が出合う。その瞬間、辛味成分が発生するといわれています。
もともとはショ糖、果糖、ブドウ糖といった甘味成分の糖類が含まれていて、フルーティーな甘味の塊なのです。この糖類の量は、100(グラム)当たり5~7(グラム)で、野菜の中ではダントツに多いのです。果物のイチゴと肩を並べるほどの甘味なんですよ。

――本当は甘いのに、生の状態では辛味が前面に出てきて甘さが消えてしまうのですね。

 

先生 玉ねぎを炒めると甘味が出てくるのは、つい最近まで、発生した辛味成分が甘味成分に変わるからだといわれていました。でも、その説は間違いだとわかったんです。

――では、新しい説はどんなものなんですか?

 

先生 辛味成分のもとである硫黄化合物は揮発、分解しやすく、加熱するとどんどん空気中に飛び出したり壊れたりして失われていくんです。反対に、甘味成分のもとである糖類は安定していて揮発、分解しにくい性質を持っているのです。

――炒めると辛味がなくなってしまい、辛味に隠されていた甘味成分が前面に出てくるのですね。

 

先生 炒めるという行為で、辛味だけでなく水分も蒸発していきます。そのため甘味が凝縮されて、より甘く感じます。

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