また、人の顔を覚えるときは「関連づけ」が役に立つ。自分の知人や有名人と関連づけて、「木下さんといえば木下藤吉郎……秀吉の末裔の人だ」と勝手に連想していくのだ。さらに、「プレジデント商事」の社員なら「秀吉といえばリーダー、だから“プレジデント(社長)”なんだ」と社名もセットで関連づけておく。

椋木修三 むくのき・おさみ●1954年生まれ。中央大学中退。日本ブレインアップジム代表、東京カルチャーセンター記憶術講座主任講師。『新超高速勉強法』『速読受験術』など著書多数。

「でたらめでもなんでも印象に残ればいいんです。その人の好物がそばなら、『長めの髪がそばのようだ』と頭の中でイメージしたり、自分流のあだ名をつけたり。それも『置き換え』なんですよ。あだ名をつけるのが上手な人は、特徴をつかむのがうまい。つまり興味を持って相手に接しているということ。記憶する対象に興味を持つことも大切です」と椋木さんは話す。

できれば、名刺交換のあと、相手の特徴や自分が受けた印象を名刺に書き込んで時々見直すとよい。

「記憶というと頭に入れること(インプット)ばかりに目が行きますが、思い出すこと(アウトプット)も重要。記憶する時間と想起する時間の両方が必要なのです。名刺交換のあと、『歌手の○○に似ていたな』と相手のことを思い出しながら、メモする。そのこと自体がアウトプットになります。時折それを見直すことが習慣になれば、記憶の定着率もぐんと上がりますよ」と椋木さんは語る。

(澁谷高晴、永井 浩=撮影)