前回に続いて、米国のベンチャー投資実務と日本のそれとを比較します。

「監査役は事実上何もしなくていい」のか

●取締役会における「監査役」

取締役会は会社の舵取りをする機関ですので、そのメンバー構成が重要なのは言うまでもありません。特にベンチャーの場合には他の企業にも増して重要だと思います。

アメリカの取締役会と日本の取締役会の制度の違いは、細かく見ればいろいろありますが、最大の違いの一つが「監査役(会)」があるかどうか、でしょう。

監査役制度というのは、決してそれ自体が悪い制度というわけではないのですが、ベンチャーは往々にして「監査役」というのが何をする人かがわからずに、「監査役って置かないといけないらしいよ」ということで置いているケースが多く、自分の親や、知り合いの税理士さん等、実際にはコーポレートガバナンスに寄与しない人を据えてしまうことも多いわけです。

監査役を引受ける方も、監査役という仕事がよくわかってなくて、「取締役のやってることにケチをつける」「社長等の足を引っ張る」ことが監査だと思ってる人や、「監査役は事実上何もしなくていい」と思ってる人がいたりします。

監査役は、会社法上も取締役会に出席する義務があります*ので、まったく取締役会に出て来ないような監査役がいたら、そこからすでに、そのベンチャーのコーポレートガバナンスは法令に違反してる可能性が高まるというか、役員としての「一体感」が無くなってしまうわけです。

(注:会計監査限定の監査役は出席義務がありませんが、会計監査限定の監査役がいても、会社法上、「監査役設置会社」にはなりません。「監査役がいるのに『監査役設置会社』ではない」というのは、ちょっと聞いただけでは意味がわからないですよね。)

以上のように、日本の監査役制度は、初めて聞く人は複雑過ぎて、何のことかまったくわからないんじゃないかと思います。