子育てや仕事にエネルギーを注ぎつつ、ファミリーライフをアクティブに楽しみたい──。そんな30代の夫婦がマイホームを取得するには、どんなことに気をつけたらいいのか。ハウジングジャーナリストの河名紀子さんにお話を伺った。

Keyword 1 基本性能
安全や省エネのもととなる「構造」を大事に!

河名紀子さん

株式会社メディア・ハウジング研究所
http://www.mh-kawana.com
代表取締役/ハウジングジャーナリスト
『東京新聞』記者、住宅業界紙・誌の記者・編集長を経て独立。生活者・女性・妻・母の立場から住宅業界情報をさまざまなメディアに発信するほか、「女性と住まい」をつなぐ住宅プロジェクトや商品企画などのプロデュースも展開している。 株式会社メディア・ハウジング研究所

昨年3.11の震災以降、消費者の住まいに対する価値観は大きく変わってきています。以前なら、マイホームというと子育てや家事のしやすさなどにまず関心が置かれていましたが、今はそれ以上に、「家族の命を守る安全」が見直されてきています。また、多くの人が節電や停電を体験する中で、省エネや創エネ・蓄エネといったエネルギーに対する備えも、安全・安心な暮らしのために必要性を意識し始めているのではないでしょうか。特に30代で家を建てるということは、これから何十年とその家に住むことが前提となりますから、長いスパンでの「安全・安心」や「省エネ」が求められます。

そこでまず考えるべき第一歩は、躯体の基本性能。構造部分で高い耐震性と省エネ性が確保されているかどうか、という点です。このベースがあって初めて、家族の命を守り、省エネライフを実践することが可能になります。巨大地震が来ても耐えられるのか、気密性・断熱性はどのくらい高いのか。構造や工法によって対策は異なりますから、ご自分でしっかり理解してほしいところです。また、今後は優良なストック住宅の売買が活性化していくと思われます。きちんとした資産価値を長期的に保つという点でも、躯体・構造部分が重要になるのです。

30代は長引く不況で右肩上がりの収入を期待できないうえ、これから子供の教育費がかかる世代。現実のマイホーム予算は限られることでしょう。インテリアや庭などの空間づくりにも夢が膨らむかもしれませんが、それらは住み始めてからでも少しずつ手をかけていける部分。まずは「見えないけれど家族を支える重要な部分」にしっかり予算をかけていただきたいと思います。