2012年5月18日(金)

なぜ居酒屋ランチは味やボリュームのわりに安いのか

「わが家の暮らし&財布」の小さな大疑問【2】限界費用

PRESIDENT 2010年5月31日号

流通ジャーナリスト 金子哲雄 構成=小澤啓司 撮影=市来朋久、宇佐見利明、坂本道浩 図版作成=ライヴ・アート
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100円でコーヒー追加は本当にお得か

東京・新橋などの居酒屋激戦区では、おいしくてボリュームがあり、野菜もそこそこ入っているランチ定食が、600~800円台という安価で提供されている。

ワンコインランチを提供する居酒屋チェーンも増えている。

「さくら水産」の某店某日の定食は、A「あじ一夜干し」、B「メンチカツとアジフライ」、C「コロッケとハンバーグ付きカレーライス」からメーンを選択し、「ライスとみそ汁」はおかわり自由、「生卵、板のり、お新香、ふりかけ」は食べ放題といった内容で500円だ。

居酒屋はそもそも、夜のみの営業がビジネスの基本。しかも、酒を提供することが前提になっている。料理の原価率(売り上げに対する食材費の割合)が20~25%程度なのに対し、酒類の原価率はとても低く、15%程度。料理とドリンクの売上比率(FD比率)は4対6ないし3対7がよいとされるが、これはドリンクの比率が高いと利益率が上がるからだ。ドリンクと料理を合わせた原価率が約17%となればいいという計算だ。3000円の売り上げなら粗利は2490円、そこから家賃や人件費を支払い、利益を出す。

それではなぜ居酒屋は、利益率の高い酒類の注文がほとんどなく、客単価も低いランチの営業をするのか。

実は、居酒屋が昼に営業するのは、ディスカウントショップのドン・キホーテが昼に営業するのと同じ理屈だ。ドン・キホーテは夜の来店客が多く、昼はさほどでもない。本来なら昼は営業しないほうが、経営効率がよさそうに見える。

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