血液と動脈の検査で分かる
健康リスクとの深い関係

「中高年層のED人口は増加していると考えられます。メタボリックシンドロームや生活習慣病の人口が、間違いなく増えているからです。この相関関係をつなぐキーワードが『動脈硬化』です」

佐々木先生が勤務する昭和大学藤が丘病院では、EDを訴える患者さんに対して、血糖や血中脂質などを測定する血液検査と、動脈の硬さを調べる検査を行っている。

「中高年層の場合、EDの症状があれば血糖や血中脂質、血圧に異常が認められると考えていいでしょう。さらに、動脈は同じ年齢層の平均よりも硬くなっていることがはっきり分かります」

生活習慣病の危険要因(メタボの構成因子)である高血糖、脂質異常、高血圧は動脈硬化を引き起こし、さまざまな病気のもととなる。陰茎動脈は直径が1~2ミリ程度と非常に細いため、より早く動脈硬化の影響が現れる。それがEDだ。放置しておくと、もう少し太い動脈にも問題が及び、狭心症や心筋梗塞、脳卒中につながることもある。

図2をご覧いただきたい。心血管系疾患にEDを合併している男性は、EDではない人と比べて5年後の死亡率が約2倍も高くなる。EDを自覚したら、命にかかわる病気にも用心すべきである。

「メタボリックシンドロームには自覚症状がなく、生活習慣病まで進んでも気づかない場合が多いから怖い。しかしEDによって、自分にその危険が迫っているのを知ることができるのです」