マンションもアンチエイジングの時代

管理組合からの情報発信も
重要な要素に

――星野さんは管理組合の理事長をされているわけですけれども、資産価値を維持していく上で管理組合の役割をどのようにとらえていらっしゃいますか。

星野 白金タワーは住宅581戸、店舗22戸からなる42階建て複合型タワーマンションです。竣工後、7年目を迎えた臨時総会で、規約改訂等の特別決議が4件成立しました。これらは長期修繕を円滑にするための変更とか賃借人に対する区分所有者の責任明確化など、いずれも資産価値維持に直結する内容です。今回、4分の3以上の区分所有者に賛成をしていただき、改めて管理組合の役割の重大さを痛感した次第です。つまり管理会社にお任せするのではなく、資産価値を維持するための課題を設定して、その解決に向けて規約等の改訂を行うことができるのは管理組合しかないと考えています。

また昨年、それまでの管理会社を含めた7社に対して指名競争型企画コンペを実施し、管理会社を変更しました。13の審査項目を設定しましたが、委託料というコスト面よりも、むしろ資産価値向上への姿勢や課題解決力があるかを重視しました。

白金タワーは地下鉄駅直結で利便性が高いといわれていますが、今後は管理水準向上による資産のアンチエイジングを進めて、将来はヴィンテージマンションとして内外に評価されることを目指し、様々な改革を進めている最中です。

長嶋 マンション購入を希望されている方に、管理組合の運営状況などをどこかで開示されているのですか。

星野 現在は、購入希望者に管理組合の運営状況を記載した議案集や各種議事録の開示は行っていません。ただ、今後はある程度の情報開示が必要と認識していて、その区分けをこれから行うところです。購入希望者に対しては、例えば施設内覧時に配布することなども理事会で検討しています。購入希望者に対する広報は、区分所有者、居住者に次ぐ第3の広報と捉えており、今回もその一環でここに座らせていただいています(笑)。

2. 広告の細かい文字

広告は集客ツール
情報収集手段ではない

――マンションを探すとなると、まず思いつくのはパンフレットや新聞の折り込みチラシ、それにネット上などの広告でしょうか。

坂根 広告に関して言うと、そのマンションに注目させるのが第1の目的ですから、重要なポイントが必ずしも謳われているわけではありません。例えば、駅に近い物件であれば『駅○分!』というのが大きく出る。建物がいくら素晴らしくても。それはなぜかというと、そのほうがターゲットに響くからです。だから、広告の制作サイドの責任とばかりはいえなくて、購入する側も資産価値イコール立地がすべて――ではなく、物件を総合的に見るようになってくれば、広告物にも様々な情報が盛り込まれてくると思います。その意味では、広告は今のところあくまで集客ツールのひとつで、それぞれの物件の情報収集の手段としては十分でないと考えたほうがよいと思います。

長嶋 あとは、細かい文字のところから見ていくこと。例えば所有権なのか定期借地権なのか、権利の形態がどうなっているかとか。総戸数のうち何戸販売するのかを見ると、販売戦略までわかることがあります。

モデルルームでは「模型」をじっくり見よ!
3. モデルルームの模型

――すると情報を集めるには、やはり数多くのモデルルームに足を運び、実際に目で見て確認をするということになるでしょうか。

長嶋 よくも悪くも、モデルルームです。モデルルームは代表的な間取りや販売上見せたい間取りをつくっていますから、自分が検討している住戸との差を念頭に置きながら見る必要があるでしょう。最近の特徴としては、私がとりわけ大切にしたいと考えている地盤や地質に対する不安を解消するために、きちんと説明するようになりました。今は購入者が求めていますから、以前はモデルルームの奥のほうに申し訳程度に置いてあった説明用パネルを、デペロッパー側も積極的に開示しています。どんな地盤にどのような対策を施しているのか、その説明はよく聞いておいたほうがいいと思います。

坂根 モデルルームにある模型を、もっと時間をかけて見てほしいですね。自分が検討している住戸がどの列のどの向きで、隣の建物との関係はどうなっているか。例えば冬もしっかり日差しが入るかなど、こういったことを見るには図面より模型のほうがずっとわかりやすいですから。また、高級マンションでいえば、外観やエントランスを入った雰囲気というのは大事で、資産価値を維持しやすい要素です。これらは青田売りでは見られないので、こちらも模型とパネルでしっかりと見て、ホールの天井と壁と床の素材は何かというところまで確認したいところです。

長嶋 模型はいいですね。土地の高低差まで厳密に、忠実に、間違いのない造りをしてありますから、小1時間眺めるだけでもいいかもしれません。