市場シェアの獲得を競うとき、“完壁”な戦略を書き上げようと苦心するのは、ばかげている。市場シェアの分母は自社自身の売上げと競合各社のそれとの和であって、競争に勝つには、よしそれが限界的な優位であっても、優位が確保できさえすればよいのである。

そんなことよりも、もっと大事なのはタイミングである。いくら優れた戦略でも、変転きわまりない市場傾向を計算に入れ忘れたものなら、何の役にも立たない。

というわけで、勝利を手中にするには、どんなわずかな優位でもいいから、競合上の優位を保証してくれる市場戦略を立案し、それを最も有効に生かせる時を見はからって実行に移すことがカギになる。

戦闘中の参謀の役目もまったく同じようなものだ。参謀は、敵の戦力と作戦計画を探り出すか、できるだけ理性的に予測するかしたうえで、それを叩き台に味方を敵の一歩先に置く戦略を組み立てる。勝利は、戦場にたとえ一兵でも残せた側のものになるのである。

したがって、何よりも大切なのは、どんなにわずかな時間でも動きでも一切無駄にすることなく、兵力を活用することである。特に、味方の兵力が相手よりも劣るときに、そうだ。

もし指揮官が大胆に現状に立ち向かうことをせず、死傷者を出すことを危惧して重大決定を遅らすようなことがあれば、遂には麾下の部隊を失う結果になるおそれが、多分にある。