経営者がこのように大きな選択についての意思決定のできない人である場合には、スタッフにも敏感に影響する。すなわち、善良なサラリーマンとして、あるいは上意下達の名参謀として、稟議書や常務会提出資料がだんだんと「承認されやすさ」という規準に基づいて作成されるようになってくる。つまり「常務会を通すこと」のほうが、「本当の意思決定を迫ること」よりも優先するようになるだろう。こうなると、揚子江を七回に分けて飛べますよ、というような(外部の私などからみればまことに不可解な)文書が、主としてトップによって審議、採択されてしまう。まして、飛ぶのをやめましょうとか、一気に飛ぶために兵力をここに集中しましょう、というような常識的な代案は、きれいさっぱり濾過されつくしているのである。