携帯電話事業撤退で600人を配置転換

08年3月には携帯電話事業からの撤退を決断したが、600人程度の事業関連スタッフのうち約100人を、カーナビの三田製作所を中心とした自動車関連事業に配置転換した。カーナビと携帯は技術的に近いこともあり、携帯で培った情報通信などのノウハウをカーナビの新製品開発に生かすメリットも生まれる。雇用を守りながらの撤退と再生という三菱電機の成長戦略には同じ総合電機でありながら、日立や東芝とはひと味違う「経営資源の集中」が透けて見える。

 近著に『ガラパゴス化する日本の製造業』がある野村証券産業戦略調査室の宮崎智彦主任研究員は、三菱電機の営業利益率の高さをこう分析する。

「半導体はルネサス テクノロジに持っていき、携帯電話からは撤退して、韓国や台湾企業と真っ向勝負して勝てない事業はやめてしまいました。要するに、チキンレースに巻き込まれることをやめたのです。ハイテク企業としてはちょっと地味な企業になってしまいましたが、手堅くFA機器とか、パワー半導体などに特化して、市況に大きく左右されない安定感は抜群ですね」

同証券の企業調査部エレクトロニクス産業調査室・山崎雅也シニアアナリストは、三菱電機の経営をこのように評する。

「強い事業体の集合という表現をわれわれはしていますが、収益性にこだわってある程度事業をフォーカスし、メリハリのある経営をやってきています。下村社長と財務の佐藤行弘副社長が議論しながら行った結果が、非常にバランスの取れた財務に表れている。一時期、借金を減らすことに思い入れがありすぎるといわれた時期もありましたが、結果的に今の環境下ではそれで正しかったといえます」