質問を奨励する文化を築こう

価値を創造するために質問が広く用いられる文化を築きたいと思うなら、直属の部下たちに彼らの質問を重視していることを知らせることだ。

これに劣らず重要なのが、質問で部下を導く手法の手本を示すことだ。そうすれば部下たちも、それを見習って各自の部下に対してその手法を使うようになる。たとえば次のような質問をすれば、チームがどの程度うまく協力しているかを確認することができる。

●今日はみんなで3時間一緒に働いたが、チームとして最もうまくできたことはなんだろう
●われわれが革新的な戦略を編み出すことに成功した理由はなんだろう
●もっとよい質問をするにはどうすればいいだろう
●今学んでいることをほかのことに応用するにはどうすればいいだろう
●どのようなリーダーシップ・スキルが、成功の一因となったのだろう

チームミーティングや1対1の面接に、いくつもの質問を手にして臨むためには周到な準備が必要だが、そこから得られるものは途方もなく大きいことがある。マーカートは旧世界開発訓練センター(バージニア州)の専務の職にあったとき、それを体験している。

彼は直属の部下の一人ひとりにこう質問した。「現在実行していないもので、わが社の成功に最も貢献するアイデアか戦略を一つ挙げるとすれば、何だと思うか」。この質問が生み出した反応は目を見張るばかりだったと彼は言う。

「われわれは私がそれまで考えもしなかったようなマーケティング戦略を編み出した。また、短期修了プログラムや教室での授業とオンライン学習を融合させたコースなど、新しい顧客サービスもいくつか開始した」

マーカートの質問に刺激されて、部下たちは東欧や東南アジアの新しい市場の調査も行い、これらの地域で現地のパートナーを開拓した。すべて自分たちのアイデアだったので、実行に移すことには全力で取り組んだ。

チームミーティングを質問によって導くことで、何が問題なのかという認識を一致させることもできる。

「ほとんどのグループにおいて、最初は問題意識を共有していない。リーダーがミーティングである問題について語る場合、誰もが自分たちは問題を同じように理解していると思い込んでいる。だが、実際は違う」と、マーカートは言う。たとえば製品の売れ行きが芳しくない場合、リーダーはマーケティング方法に問題があるからだと思っていて、他のメンバーは製品に問題があるからだと思っているとしたら、どうだろう。「問題は何だと思うか」と質問しないかぎり、リーダーはそのことに気づかないままだ。