今回は、前回に続いて、シード期のベンチャーにエンジェルやインキュベーターなどが投資をする際の投資契約書の考え方について、解説します。投資契約書のひな形pdfはこちらをご覧下さい。

「上場」オプションは残しておいたほうがいい

■なぜ5%程度の投資なのか?

昨今、こうしたシード期のベンチャーに対して数百万円程度の投資を行う個人のエンジェルやインキュベーターが非常に増えており、それ自体は非常に喜ばしいことだと思っています。

しかしながら、仮に上場までに億円単位の資金が必要であって、最初の段階で数百万円の資金で20%とか40%といった割合の株式をエンジェルやインキュベーターにとられてしまったら、その後に追加の資金調達をして上場したりすることが、非常に困難になってしまいます。

アメリカの、そうしたシード段階で投資をするY Combinator500 Startupsでも、投資は200万円-300万円程度で6%平均程度(投資後)といったことになっているようです。(好き嫌いはさておき)、アメリカより上場時の浮動株比率の縛りが厳しい現在の日本では、この200万円-300万円程度で6%程度を超える比率を初期にエンジェルやインキュベーターがとってしまうと、上場は難しくなるということになってしまうと思います。5%ですら、決して小さい割合ではありません。

投資家は、上場でなくても、M&Aによって会社ごと買収されて投資した株式が高値で売却されるのでもかまわないわけです。しかし、経営者の方は、「どんどん新しいことがやりたいので、会社がM&Aで他の人の会社になってしまうのも全く構わない」という人も増えてはいますが、「上場はしたいけど、どこかに買収されて自分の会社でなくなってしまうのはイヤだ」という人も多いでしょう。

また、M&Aで売却する交渉をするにしても、「上場もできるんだけど、御社に売却してもいいですよ。どれくらいの条件を考えてらっしゃいます?」というスタンスで交渉するのと、「上場は不可能なので、なんとか御社で買っていただけないでしょうか?」というモードで交渉するのとでは、交渉力(売れる値段)も違って来ます。つまり、当然のことながら「上場も可能」というオプションを残しておいた方が、経営としても、投資としても、可能性が広がるわけです。