業績がよければ賞与500万円も!

つるにアクセサリーを施した商品は社員のアイデアによる。

この仕組みが機能している理由の一つは、社員により異なる昇給システムが設けられていることだ。30歳で昇給が止まる「一般職コース」と、本社の経営か独立を目指し、給与も成果主義の「経営職コース」がある。

経営職コースの場合は、給与と賞与の額は人事評価の点数に応じて決定されるので、ときには社長の給与を上回ったり、賞与の金額が500万円を超えるケースもある。もし、異議があればウェブで申し立てをすることもできる。

創業時に設けられていた共同出資制度の発展形である「社内預金制度」もメガネ21独自の仕組みだ。無借金経営を掲げる同社にとってこの制度は、銀行に代わる資金源でもある。社員から「社内預金」という形で出資をつのり、10%前後の高金利で利息をつけて還元する。これが、給与を補完する収入源になりうる。

「組織にある程度の競争は必要です。しかし、決まった仕事をきちんとこなしてくれる社員も大事。適材適所でチームが回ればいい」と、語る平本は、創業から変わらぬ経営方針を守りぬいてきた。

「人間は生活が保証されて初めてモラルを持つ生き物です。社内格差があまりに激しければ、下のほうに位置づけられた社員はやる気をなくして、他人の足を引っ張るようになるでしょう」

自らを戒めるようにそう語る平本。その言葉の裏には、メガネ21を興す前に勤めていた大手眼鏡店での苦い思い出がある。

「社員を何より大切にし、自身は贅沢をせずに会社を大きくしてきた創業者が退き、アメリカ帰りの二代目が後を継いだとたん、組織はがらりと変わりました。経営者の一族にだけ権力と富が集中する仕組みになってしまった」