「定年延長」を先にできないジレンマ 

今回は、過去一カ月分の人事・雇用関連の経済ニュースの中から、筆者オリジナルの視点で解釈したものを紹介します。

●民主党政権が新卒採用カットにこだわる理由

政府が公務員人件費カットのために、新規採用の大幅カットを検討していることが明らかとなった。

実は、新規採用の抑制は2011年度も37%と大ナタを既に振るっている。このほとんど嫌がらせとも思える若年層イジメの理由は何だろうか。民主党政権が新卒採用カットにこだわる理由は2点ある。

・初任給300万円ちょっとの新人を何人切っても、とうていマニフェストに明記した公務員人件費2割カットには届かないから。
・来年度より年金の報酬比例部分の支給開始が1年ずつ引き上げられるのに合わせ、公務員の定年齢も引き上げたいが、そうすると人件費がさらに高騰するため。

2番目については、民間でさえ難色を示されている定年延長を官が先にやることはできないと判断し、法案成立はとりあえず見送られている。だが折を見て必ず提出してくるはずだ。その際に「マニフェストの2割削減すら達成していないではないか」と突っ込まれるのは何としても避けたいのだろう。政権交代前と比べて人件費総額が増えていれば、致命的なマニフェスト違反となってしまう。これが、新卒採用8割カットという無茶苦茶なプランが出てきた理由である。

ちなみに、霞が関では、次官や局長といった上級役職者が(天下りが削減されることにより)滞留する一方、採用削減の影響で、2、30代が手薄となり、ローテーションが機能不全を起こしつつある。ノンキャリアの登用で急場をしのいでいる省庁が多いが、民主の新規採用カットにより、奇しくもキャリア制度の希薄化が進むという皮肉な結果となっている。