“リストラ”という言葉が一般的となって久しい。従来から中小企業ではクビ切りは無い話でもなかったが、90年代後半あたりから、それまでは終身雇用という建前でやってきた日本企業の中にも、人員調整の必要な状況に追い込まれる企業が出てきた。そういった「身持ちのしっかりした企業」における人員調整を上品に表現したのが、リストラという言葉である。

ただし、世間一般での使われ方を見ていると、必ずしも実態を反映しているとは言えない。というわけで、終身雇用型企業におけるリストラについて整理しておきたい。

リストラ=首切り、ではない

●リストラの定義

実は今でも、実際に生クビを切るリストラは稀である。JALの年末100人解雇が話題になったが、筆者もあれ以外にちょっと思い浮かばない。要するに、破綻した企業がたった100人解雇するだけでも、新聞各紙に掲載され、「ILOに訴える」とまで泣き叫ばれるほど、今でも日本は表立った解雇がしにくい国なのだ。

では、よく使われるリストラという言葉は、何を指しているのか。それは文字通りのリストラクチャリング=事業の再構築であり、大半は職種転換や子会社転籍、事業売却のことで、対象となる本人には一定の痛みは伴うものの、雇用自体は引き続き保証されるものがほとんどだ。

2000年前後では電機各社で一万人単位の規模でのリストラが行われたが、その9割はこういった枠の付け替えにすぎず、しかも主なターゲットは製造ラインで、ホワイトカラーについてはほぼ手つかずだ。逆にいえば、現在にいたるまで電機の衰退トレンドが変わっていないのは、10年前の手術が小手先の美容外科レベルのものだったことを示している。

しばしば企業が「我々も自助努力をしています」というアピールのためにリストラと言う言葉を使うが、必ずしもそれら大手において、終身雇用にメスが入れられたわけではない。