なぜ日本は「コロナ禍」を終えられずにいるのか。精神科医の和田秀樹さんは「日本の高齢化率は断トツで世界一。そして人は高齢になると前頭葉が委縮し、変化を好まなくなる。つまり日本人の多数が前例踏襲思考に陥っているのだろう」という――。

※本稿は、和田秀樹『マスクを外す日のために 今から始める、ウィズコロナの健やかな生き方』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

2020年12月6日、新型コロナ感染拡大を受け、ほとんど人けのない成田国際空港
写真=iStock.com/Sayuri Inoue
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日本のコロナ対策はなぜ変わらないのか

欧米では、前回の記事で紹介したような「マスク禍」を議論の俎上そじょうにのせたうえで、「マスク着用義務解除」の方向に政策の舵を切ったわけです。

日本の報道を見ていると、欧米では「マスクをかけない自由」を求める“頑迷な”権利意識から、マスクをしない人が多いようにも思えますが、現実には、マスクの得失を十分に考慮した判断から、脱マスクの方向に方針変更したという側面が注目に値するのです。

一方、わが国といえば――一向に舵は切られません。

ワクチン接種率では、すでに欧米を上回っていますが、「そろそろ、マスクを外そう」という議論はあまり耳にしません。テレビを観ていても、マスクのデメリットが語られるシーンをほとんど目にすることはないのです。

なぜ、事態が変化していても、日本は変わることができないのでしょうか?

それは、残念ながら、この国が老いたからでしょう。高齢化が国民全体の脳を萎縮させ、政府も国民も「変化を好まなくなった」というのが、私の見立てです。