導入した家庭も実際には試算通りにはいかない場合が少なくない。

「メーカーのホームページ記載の平均発電量は、日当たりの良い設置場所を多く含んだ平均値。都内で設置した場合、日当たりが平均値ぐらいまでいくのか微妙なところ。オール電化と一緒に導入を勧められる場合が多いのですが、私が取材した範囲で、副収入になったり、光熱費が投資額より大幅に下がったというケースは稀です」

ではなぜ、税金投入や電気代上昇という犠牲を払ってまで国はこの政策を推し進めようとしているのだろうか。

「もともと、太陽光発電のパイオニアは日本でした。ところが数年前に政府の補助金が一時打ち切られたときに、一気にドイツに追い抜かれてしまった。それを一挙に打開したいという思惑もあるのでしょう」

しかし、そもそも太陽光発電は本当に「エコ」なのだろうか。

「石油やガスなどの地球上の天然資源に限りがある以上、太陽光をエネルギーに転換するという発想自体は素晴らしい。ただ問題は、その太陽光発電機を製造や廃棄するために莫大なエネルギーやコストが必要となることです。耐久年数や産業廃棄物としてどう処理するのかという問題もある。果たして本当に『エコ』かどうかは、まだ未知の領域なのです」

太陽光発電=「おトク」「エコ」という単純な図式はどうやら少し甘いようだ。導入する場合は、よくよく検討することが必要だ。

※すべて雑誌掲載当時