代替案のもう一つの特長は、一度択一されたら、一貫してこの精神を守る、ということである。

たとえば、東日本で三倍にしようという案を実施する過程では、途中で西日本の売上げが落ちるかも知れないし、また、思った早さで東日本の売上げが伸びないかも知れない。こういうときこそ、がまんのしどころなのである。こうした場面を乗り切らないと、なんのために代替案を検討し、択一したのかわからないことになる。上に立つ人が、この時期に根負けし、西にも行け、東にも行けと言ってしまったのでは混乱するばかりである。「みんな全力投球せよ」と言っているのと同じで、戦略不在と言われても仕方がない。大体、上に立つ人間の唯一の役割は、どれを強調してやればよいのかを指摘することであって、「全員一丸となって全力投球せよ」などと言っていては価値がまったくない。もっとやれとか、もっとがんばれ、と言うだけなら録音テープにだってできる。これは押さえてこれをやれ、と言って初めてものごとに濃淡ができ、競争相手に対しても差別化できるし、経営資源も有効に生きてくるというものである。