今日の洗剤会社は化学屋主体で、「洗剤事業」を営んでいる、と思っているのであろうが、本来、洗剤事業、などという事業はありえない。あるのは、洗濯事業なのであって、ユーザーからみれば、洗剤はすすぎ、洗い落とさねばならぬ邪魔者なのである。洗剤という邪魔者をすすぐために大量の水が消費され、国全体のムダとなっていることを忘れてはならない。本来ユーザーは、衣服の汚れを落としたいと思っているのであって、洗剤を欲しいと思っているわけではない。洗剤はあくまで、汚れを落とすための手段なのであって、目的ではない。だからユーザーの目的関数に沿って事業を定義していないと、本当の意味でのコンシューマー・オリエンテーションということは考えられない。もし事業領域が「衣服の洗浄」というように定義されていれば、いきなり洗剤という化学物質には短絡しないであろう。

むしろ洗い落とすための方法として、超音波などの物理的方法も当然事業領域に含まれる。こうすることによってはじめて、ある日突然電機会社が洗剤もすすぎもいらない、超音波洗濯機を出してきた、というような不連続リスクに対して先見性を持って対処することができる。