成功した経営者の話を聞いていると、いつも驚かされるのは、その意思決定がいかに予言者的であるか、という点である。後から考えると全く論理的なのではあるが、当の本人はそんなことのわかる前に、すでにある種の予想をして、それに対する一つの賭けを次々と成功裏に行ってきたといった印象を受ける。

しかし、経営はギャンブルではない。不確実な要素に対する判断はたしかに要求されるが、それはあくまでも合理的推論が可能なのである。金と時間に制限があるから見切り発車、すなわち不確実な状況下で意思決定を行うのであり、無限の分析をしたとしても全くランダムな過程に対して判断するルーレットのような確率仮定、いわゆる賭け、とは本質的に異なるものである。

したがって、数々の成功した事業の例を見ると、確かに先見性に富んでおり、予言者の意思に基づいて進んできたかのような印象は受けるが、その背景には実に首尾一貫した「成功のパターン」が透視される。これを先見性の必要・十分条件と呼んでもよい。すなわち次の四つの要件が、成功した事業に必ずみられるのである。