(PANA=写真)

エルピーダメモリ社長 坂本幸雄(さかもと・ゆきお)
1947年生まれ。日本体育大学体育学部卒。70年日本テキサス・インスツルメンツに入社。同社副社長などを経て、2002年より現職。


 

経営不振に陥り、昨年後半から提携先探しと金策に走り回ってきたエルピーダメモリの坂本幸雄社長。2月末に緊急会見を開き、経営破綻に追い込まれた経緯を説明したうえで「ご迷惑、ご心配をおかけし心よりお詫びする」と頭を下げた。「公的資金を投入されながら会社が破綻。血税を無駄にした責任は?」「汎用品のDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)を日本でつくる意味があるのか」。厳しい質問が相次ぎ記者会見は荒れた。それでも、かつて“半導体業界の救世主”と言われた坂本氏の自負心は消えず「何も決まっていない提携話を記事に書かれ邪魔された。日本の記者のレベルは相当落ちている」とマスコミにかみつく一幕もあった。

日本体育大学を卒業後、米半導体メーカー、日本テキサス・インスツルメンツに入社。倉庫係から叩き上げで副社長まで昇進した後、神戸製鋼所の半導体事業や台湾系の日本ファウンドリー(現UMCジャパン)の再建を手がけた。NECと日立製作所のDRAM事業統合でできたエルピーダメモリ社長に2002年就任。東証1部上場後、05年3月期に黒字転換を果たし、半導体業界で声望を高めた。

だが、08年のリーマンショック後、環境は急変。09年に公的資金による300億円の資本注入を受けたが、円高やタイの洪水で11年4~12月期の連結純損益は989億円の赤字を計上。資金繰りが厳しくなる中、坂本氏は米系や台湾系メーカーとの提携を模索したが、まとめきれずに頓挫し自主再建を断念した。今後は会社更生法の下、坂本氏がそのまま経営陣として残る見通しだ。ただ、DRAM市況に好転のきざしはなく、提携交渉先と見られる米台メーカーも巨額の赤字に陥っており、再建はいばらの道となりそうだ。