サントリーの監督になって、今季で3年目になります。そういう意味で、今年はさらに大きく変わらなければなりません。

そう思って獲得したのが、今年の目玉、ジョージ・グレーガンです。彼は07年までオーストラリア代表のキャプテンを務め、代表キャップ139という世界最多の記録を持つラグビー界のスーパースターです。03年のワールドカップで準優勝するなどオーストラリアは世界でもトップクラスの強豪ですが、それをコントロールしてきたのが9番をつけたスクラムハーフのジョージです。

僕はチームに大切なのはバランスだと思っているんです。ラグビーは15人のスポーツで、1番から8番がボールを奪う役目のフォワード、11番から15番が攻撃を仕掛けるバックスです。そしてフォワードとバックスをつなぐ役目が真ん中にいる9番と10番。このポジションがゲームを円滑に進めるうえでとても重要なんです。

たとえば、チーム全体が調子がよくて攻めるモードの時は問題ない。不利な展開や、膠着した場面が問題なんです。どうしてもチームの方向性がバラバラになってしまう。そういう時、僕がグラウンドに立っていたらこういう声をかけるだろうな、こういう指示を出すな、と思うことができる選手が去年はいなかった。もちろんキャプテンという存在もいるけど、それは精神的な支柱であって、ゲームの方向性とかマネジメントといった部分は真ん中の選手がやるべきなんです。

そういう意味で、ジョージにはゲームがうまくいかなくなった時のマネジメントを期待しています。彼が持っている技術とメンタリティ、そういうものがチームに浸透していくと、今までとは違ったチームが出来上がると思うんです。

早稲田を含めて監督になって7年になりますが、これまでファイナルに進出できなかったことはありません。もし結果が出なければクビになるだけでしょう。監督とはそういうもんです。だから面白い。去年、方向転換したあたりは辛かった? なんて言われますが、とんでもない。監督の醍醐味ですよ。窮地に、どう活路を見出すか。そこでどういう仕事をするか。いちばん楽しいとこじゃないですか。今年はやりますよ。柔道でいえば、去年はポイントを取りに行ったラグビーでしたけど、今年はアグレッシブに一本勝ちを狙います。今年のサントリーは違うという試合を見せたいと思っています。

※2008年10月にインタビュー。