収益力だけでは測れないベンチャーの「実力」

今回は、前回に続いてベンチャーのM&Aについて考えます。

一般的なM&Aの契約でも、「提出した財務諸表の内容は、一般に公正妥当と認められた会計原則に従って作成されており……」といったことが表明と保証の項に書かれるわけですが、特にベンチャーのM&Aの場合には、買い手がなぜそのベンチャーを買いたいのか、というのは、単なる収益力(カネを稼ぐ力があるかどうか)だけではないことが多くなります。

例えば、テクノロジー系のベンチャーであれば、

・(優秀なチームが欲しいので)そのチームの概要
・(特定のプログラムが欲しいので)そのプログラムの特定
・(特定の特許が欲しいので)その特許がちゃんと成立していること、その他
・顧客ベース(ユーザーがどのくらいいるか)
・アクティブ・ユーザーの数(実際に稼働しているユーザーがどのくらいいるか)
・コメント数やクリック数
・コンバージョン率(実際の購買等につながる率)

など、財務情報に限らない点がいろいろ問題になります。

つまり、「実態として」本当にイケてるから欲しいわけで、財務諸表がきちっと会計監査されて内容も正しくても仕方がないわけです。(ベンチャーは、まだ大した売上や利益があがっていないことも多いので。)

上記のような指標は、必ずしも、会計的な数値に直結するとは限りませんので、会計監査の対象とならないことも多くなります。つまり、買う側がもっとも気にする指標に第三者のチェックがかかってないわけです。

このため、そうしたキモになるデータについては、こうしたM&Aを考えてきちんと保存しておくことが重要だと思います。可能であれば、そのデータの信頼性が確保されるしくみもなるべく確保しておきたいところです。(会社に勢いがあれば、昔のデータがなかったり、それをレプワラに盛り込まなかったりしても、ディールはまとまる可能性はあると思います。データがきちっと整理整頓されているが勢いが無い会社よりは、データがとっ散らかっているけど勢いがある会社の方が、交渉力があると思います。)