マーケッターの眼

チケットの手配だけならPCとモバイル端末で可能。直接予約も増加で薄れる「旧型」代理店の存在意義。

この部門では、業界最大手のJTBがトップ評価。「接客」「品揃え(コースの多様さ)」「立地」「アフターサービス」で高い評価を得た。家族や友人など複数で旅行を計画する場合、幹事は自分の好みより、みんなが納得しやすい旅行会社を選ぶ傾向がある。

となると、やはり最大手の出番。今回の結果でも、「最大手のJTBなら平均以下ということはないだろう」という信頼感が高評価につながったと見られる。

とくに支持率が高いのは40代男性だった。旅行代理店といえば個人旅行の用途がまず思い浮かぶが、出張や慰安旅行、視察旅行などのビジネスユースの需要も多い。働き盛りの男性にとって、同社は仕事がらみで馴染みのある旅行代理店なのかもしれない。

とはいえ、不況のあおりでビジネスユースの需要は確実に減退している。出張が減っただけでなく、大手企業が慰安旅行を取りやめたことで旅行代理店、旅館、ホテルに打撃を与えた。

2位のHISは、20~30代の支持が多かった。独身で身軽な世代は、旅行会社の企画旅行より、チケットや宿泊の取り次ぎのみを行う手配旅行を好む。格安航空券やフリープランに強いHISが若い世代に人気なのも頷ける。

ただ、インターネットの普及で手配旅行に変化が起き始めている。チケットの手配のみなら、人を介さずともパソコンやモバイル端末さえあれば対応できる。そのため楽天トラベルやじゃらん、一休といったネット系旅行代理店が台頭。大手代理店に比べると取扱高が少ないため今回は調査対象外となったが、若い世代を中心に着実に支持を伸ばしつつある。

またITで対応できるということは、ホテルや航空会社への直接予約も容易になるということだ。代理店を通さずに自分で直接手配するユーザーは、今後さらに増えるだろう。

私の注目ブランド→阪急交通社

自分で旅行を企画・手配するスタイルが広がる一方で、やはり企画や手配は面倒で、パッケージを楽しみたいという層もいる。こうしたパッケージツアー派に人気なのが、4位にランクインした阪急旅行社だ。

同社は格安日帰りバス旅行などの独自性の高い旅行プランを販売。至れり尽くせりのサービスで中高年層をうまく取り込んでいる。IT化で代理店の存在意義が薄れつつあるいま、こうした差別化が生き残りの鍵になるはずだ。

※すべて雑誌掲載当時

(坂本道浩、宇佐見利明=撮影 ライヴ・アート=図版作成 <マーケッターの眼>小野譲司/村上 敬=構成)