次に大切なことは、その場に、「意味性」が感じられることです。話し合うテーマに応じて、その土地が選ばれるかもしれません。それは歴史的な場所であったり、あるいは「教育の未来」を考えるために廃校後にリノベーションされた会場を使う、というのもよいアイディアでしょう。歴史を感じられたり、ビジョンを指し示しているような場所をできるだけ選んでみましょう。

では、場所の選定に自由度がなく、会議室のような部屋を使わざるを得ない場面を考えてみましょう。残念ながら、このような状況がもっとも多いと思います。

まず、思いっきり、会議室の雰囲気をぶちこわしましょう。そして、対話に合った空間を作りましょう。

大きな四角いテーブルは、たたんで廊下に出してしまいましょう。ワールドカフェなど、テーブルが必要な方法論を使う場合は、参加人数を4で割った数だけ、テーブルを部屋の片隅に残しておきます。椅子だけにして、上下関係を感じないレイアウトで並べます。可能であれば、一つの円になるように椅子を並べます。部屋が狭くてできなければ、二重にしても構いません。それも難しければ、中心だけを決めて、あとはわざと乱雑に椅子を並べましょう。

次に、アイディアが生まれたら、それをどんどん可視化できる空間を作りましょう。ホワイトボードやフリップチャートをできるだけ多く、持ち込みましょう。壁があったら、そこには模造紙をできるだけたくさん貼りましょう。可能な限りすべての壁を可視化のために使います。それから付箋紙は必需品です。セッションが始まったら、窓にも付箋をばんばん貼っていきましょう。

可能であれば、お茶とお菓子、お花を用意しましょう。入り口には、「ウェルカム!」「ようこそ!」と大きく書いておきましょう。仕上げは、照明と音楽です。蛍光灯の青白い光をぜんぶ消して、スポットライトを持ち込みましょう。そして明るい音楽で迎えて、ある程度参加者が集まり始めたら、落ち着いた音楽に切り替え、話し始めるときにフェードアウトさせていきます。

よい場を作るのは、参加者全員の協同作業です。参加者のために「主体的参加の余白」をうまく作ることができれば、誰もが盛り上げ側に立つことができます。アジェンダをホワイトボードや壁の模造紙に大きく書いておくことで、参加者が全体像を理解できます。ファシリテーターが、その日の目的や意図を伝え、そしてどんなアイディアもウェルカムであることを伝えます。

誰もがいつでもリーダシップを発揮できる状態ができたら、あとはすべてを場にゆだね、楽しむことです。よい場は自然に、立ち上がってくるのです。