意外と立場が強くない大企業の人事部

前回、「ジョブローテーションで悩んだら、最後の手段として人事部に相談してみたら」と書いたところ、人事部と上司の違いについての質問がいくつかきた。これはかなり本質的なテーマなので、今回は人事部についてまとめてみたい。

人事部で区別すると、会社には3つのタイプが存在する。

1.人事部の無い企業
2.事業部が人事権を掌握している企業
3.人事部と事業部の二重構造が存在する企業

1番は中小企業やベンチャーによくみられるパターンで、トップが直接的に従業員の人事マネジメントを行っているものだ。組織としては原始的なスタイルだが、評価等のマネジメント基準にムラがなく、責任の所在が明確なため、トップの能力によっては大手よりはるかに良質なマネジメントが実現している。一例として、メリーチョコレート社は、原社長(当時)が500人の従業員をすべて把握した上で、査定から昇進まですべて管理することで、マネジメントの品質を担保していた(詳細は『日本型成果主義の可能性』参照)。

2番は、小規模~中規模の組織で多くみられる。外資系企業や出版社が代表だ。現場の事業部レベルの管理職が査定や異動といった人事権を掌握していて、場合によっては採用権も握っていることもある。この場合、人事部はあっても、給与や社会保険手続きといった事務作業程度の仕事しかしていない。3番は、大手や官公庁が該当する。上記のマネジメントは、だいたい従業員数が500人を超えると機能しづらい。統一したマネジメントが難しくなるからだ。そこで、生え抜きの人事部を作って、彼らが人事という業務に専従することになる。

とはいえ、顔も知らない人事部に、現場の評価等できるわけも無く、事業部の管理職にも人事権は残される。これが二重構造というわけだ。

目安としては、

通常の異動、賞与の査定、昇給審査、制度の運用 → 事業部

通常ではない個別マター対応、制度全体の設計、入退社、懲戒処分 → 人事部

と覚えておけばほぼ間違いない。国と自治体の関係にたとえる人もいる。

ただし、官公庁以外の大組織の人事部門というのは、一般にあまり立場が強くは無いので、お願いすれば何でも動いてくれるというものではない。それなりの大義名分が必要だろう。

1、2番の企業については、人事部という名の部署があったとしても、彼らに出来ることはきわめて限定的だろう。相談はトップか直属の上司に直接掛け合うしかない。よって、ここでは3番について述べたい。