マーケッターの眼

「品揃えのよさ」よりも「品切れをなくす」で支持を集める。
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3社の項目別評価

コンビニのブランド評価に多大な影響を与える要因は2つある。弁当・惣菜の「品質」と「品揃え」だ。堂々の1位になったセブン-イレブンは、ファミリーマート、ローソンと「接客」や「立地」の評価はほとんど変わらないが、「品質」と「品揃え」で他チェーンを大きく凌駕。これが全体の評価に直結した。

弁当・惣菜の味については個人の嗜好によるところが大きいため評価は控えるが、誰が見てもわかるのは「品揃え」だ。といっても、種類の多さではない。セブン-イレブンは、弁当・惣菜の品切れが、他チェーンと比べて圧倒的に少ない。品切れ予防のための大量発注は食品廃棄とも絡むため、非常にデリケートな問題だ。ただし今回の結果を見るかぎり、消費者のエコに対する関心は意外に低く、それよりも店頭につねに商品が揃っているかどうかが重要なようだ。

売り上げの大部分を占める弁当や惣菜で差をつけられた他チェーンは、他の分野で差を詰めなくてはいけない。そこで注目したいのがポイント制や電子マネーだ。セブン-イレブンではグループ独自の電子マネー「nanaco」、ローソンでは独自ポイントの「ローソンパス」が使えるが、ファミリーマートでは異業種統合ポイント「Tポイント」や電子マネー「WAON」が使用可能だ。ポイント交換ができる業種や店舗数の多さでは、ファミリーマートが頭一つ抜けている。今回の調査でも「ポイント制」についての評価はファミリーマートがトップだった。

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地域別人気ブランド

ローソンも、三菱商事が主導して2010年3月から本格展開される異業種統合ポイント「Ponta」に参加する。「Tポイント」の対抗馬と目される新ポイントだけに、これが軌道に乗ればセブン-イレブン追撃の態勢が整いそうだ。

過熱する“コンビニ・チキン戦争”からも目が離せない。今回の調査でファミリーマートは若い世代ほど支持が高いという結果が出たが(20代26.0ポイント、60代16.0ポイント)、若年層取り込みの原動力となったのが、店内調理するフライドチキン「ファミチキ」だ。

これを受けて、もともとホットスナックに力を入れてきたローソンも、低価格の「Lチキ」で対抗した。また、顧客の年齢層が比較的高い(20代39.0ポイント、60代53.5ポイント)セブン-イレブンも、フライヤーの導入を急ピッチで進めている。コンビニ利用者の年齢層は年々上がっているが今後、各社がどのような戦略で若者を取り込むかに注目していきたい。

※すべて雑誌掲載当時

(坂本道浩、宇佐見利明=撮影 ライヴ・アート=図版作成 <マーケッターの眼>小野譲司/村上 敬=構成)