免疫力を高めてパワフルな毎日を送る──。実現するには、言うまでもなく毎日の積み重ねが不可欠だ。

そこで近年、存在感を増しているキーワードが「酵素」である。

酵素栄養学に詳しい鶴見クリニック・鶴見隆史院長に、日々意識しておきたい「健康ルール」を聞いた。

鶴見隆史(つるみ・たかふみ)
鶴見クリニック院長
1948年生まれ。金沢医科大学卒業後、浜松医科大学などに勤務。東洋医学や鍼灸などを学び、西洋医学を融合させた医療を実践。酵素栄養学とファスティング(断食)、水素などをミックスさせた独自の代替医療に取り組む。
──先生は体を守るキーファクターとして酵素に注目されています。健康とはどのような関わりがあるのでしょうか。

何となく疲れやすい、肩が凝る。ご存じの方も多いと思いますが、そうした不調をもたらす原因の一つは免疫力の低下です。最近の研究では、免疫機能の8割は小腸の粘膜である腸管に存在することが明らかになりました。つまり、腸が元気だと免疫機能が向上する。そのカギを握るのが「酵素」というわけです。

免疫機能が腸に集中している理由は、人体のメカニズムを考えると非常に理にかなっています。食べ物は口や胃、腸を通って肛門に行き着く。これらは一本の管のようで、体内にありながら外界とも接しています。栄養を取り入れる一方で、外から侵入してくる病原菌や有害物質をくい止める小腸の位置は、いわば「関所」の使命を担っているわけです。

しかし善玉菌が不足していると、免疫機能は十分に働くことができません。そこで腸内環境を整えるために活躍しているのが酵素。酵素は消化を助け、代謝を良くするという役割をもっていますから、まさに生命活動の生成と維持に不可欠な存在であると言えます。

 

ルール:「酵素」の浪費を抑える生活を心がける!

──酵素には非常に多くの種類があるそうですね。

いま判明しているだけでも、およそ1万3000種類あります。というのも、炭水化物の分解はアミラーゼ、タンパク質ならプロテアーゼというように、一つの酵素は一つの働きしかしません。私たちの体内というのは、例えるなら栄養素をちゃんと活用できるかたちに作り替えたり、有毒物質を分解したりする化学工場。この工場に欠かせない、頑固だけど腕のいい技師たちが酵素です。

では、どうやって酵素を増やせばいいのか? 一つは、酵素が豊富に含まれている味噌や納豆などの発酵食品や生野菜、果物から取るのがいいでしょう。これらは「食物酵素」といいます。

そしてもう一つは「潜在酵素」と呼ばれる、人が生まれたときからもっている酵素です。この潜在酵素は体内でしか作ることができず、1日あたりの生産量もごくわずか。酵素は毒素の排泄、栄養の吸収や消化、古くなった細胞の再生など新陳代謝にも使われます。ですから酵素をムダ使いしないよう、生活のリズムをしっかり整えることが大切です。

また、人間の体は加齢とともに酸化していきます。活性酸素が体をサビさせ、体内の酵素を奪っていくのです。携帯電話のバッテリーは、充電を何度もくり返すうちに使用時間が短くなっていくでしょう。それと同じように、体のなかのバッテリーもしだいに劣化していく。ですから睡眠などで体を休めてしっかり酵素をチャージし、かつできるだけ温存していく工夫をすること。それが、健康維持や長命の秘訣と言えます。