特約を考慮せずに対面型生保、通販型生保、ネット生保の基本的な保険料を比べた場合、最も安いのはネット生保といっていい。対面型生保と通販型生保の保険料水準は、実はそれほど変わらない。ただ、通販型生保はメーカーでいえば“製造直販”といった形なので、対面型生保より少し保険料が割安になる傾向にある。つまり、保険料の高い順に並べると、基本的には対面型生保→通販型生保→ネット生保の順。

だが、注意しておきたいのは、どんな場合にもネット生保が最も安いとはいえない点だ。

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ネット生保の保険料のほうが高い場合もある

表のように、ネット生保には健康体・標準体や喫煙・非喫煙で区分するリスク区分型の保険料設定が存在しない。対面型生保や通販型生保の場合だと、加入時に健康診断や唾液検査を行うため、健康な人には割安な保険料を設定できる。だが、ネット生保はこうした検査を行わず、ネット上の告知のみで加入審査を行うため、リスク区分型の保険料設定が不可能なのだ。

表の例で見るとわかるように、タバコを吸わず、健康体(優良体)の人なら、30歳、40歳、50歳いずれの年齢でも保険料が最も安いのは通販保険B社。一方、タバコを吸ううえに健康体(優良体)にもあてはまらない人(標準体)の場合なら、ネット生保A社がいずれの年齢でも最も安い。

さらに、ネット生保の保険料は年齢が上がるほど割高になる点にも注目したい。たとえば、ネット生保A社の保険料は30歳と比べて40歳で2.1倍、50歳では4.9倍になる。通販保険B社の標準体では30歳と比べて40歳は1.6倍、50歳で3.2倍程度。対面販売C社もほぼ同じ水準だ。これは、若い世代に割安な保険料をアピールしたいというネット生保の戦略を反映したものといえるだろう。

保険を選ぶときは、ネット生保だから保険料が安い、と頭から思いこまず、保険の内容も併せて、各社の商品を幅広く比較するのがよさそうだ。

※すべて雑誌掲載当時

(撮影=坂本道浩 構成=有山典子)