▼関谷さんからのアドバイス

同時通訳者 関谷英里子 せきや・えりこ●アル・ゴア元米副大統領やダライ・ラマ14世など、一流講演家の同時通訳者および翻訳家として活躍。著書に『ビジネスパーソンの英単語帳』など。

成果を左右する最大の要因は集中力だと思います。私は仕事や勉強に取りかかる前に、まずは集中できる状態をつくるようにしています。最初にやることは整理整頓です。新聞や雑誌、当面の作業に関係のない仕事の資料などは、目に入るとどうしても気が散るので、机の周囲から排除します。パソコンも開いているとメールをチェックしたくなりますから、すぐ使うのでなければ電源を落としておく。そうやってどんどん片づけ、必要なものだけを手元に置くようにします。

このとき大切なのは、これからやることだけでなく、これはやらないということも同時に決めてしまうことです。あれもやりたい、これにも目を通しておこうと欲張っていろいろ用意すると、こんなにやることがあるのかと気持ちが焦って、かえって集中できなくなります。ですから、いまはこれはやると決めたら、それ以外は別に時間をとってやると腹を括り、頭のなかから消してしまうのです。

もうひとつは、始めたら途中で絶対にやめないことです。たとえば、今晩中にこの文献を読み切ると決意して始めたら、何があっても最後まで読んでしまう。ただ、いくらそう思っていても、飽きたり眠くなったりするかもしれません。そのようなとき私は、読み方を黙読から音読に切り替えたり、椅子から立ち上がって部屋を歩きながら読んだりというように、変化をもたせることで自分に刺激を与え、集中力を保つようにしています。

能率が上がる時間帯を知っておくのも大切です。私の場合、集中できるのは朝よりも夜。とくに新しいことを覚えるのは、深夜が適しています。寝る前に覚えて、翌朝すぐに復習すると、記憶への定着がいいようです。

※すべて雑誌掲載当時

(山口雅之=構成)