SNSリテラシーが必須要件に

日本の人材市場は、電話と対面による人材紹介ビジネス、一方では紙媒体主力の求人広告の時代から1990年代後半の求人サイトの登場で転職市場は大きく拡大した。そして今、SNSの登場で「第三の転換期」を迎えている。

その転換期において、当然ビジネスパーソンも変化を求められている。水谷社長は「世界の中で日本のビジネスパーソンがダントツに下手なのは、自分のキャリアを決断する力と、自分の持つ経験や能力を表現することだ」と指摘する。いうまでもなくグローバル化の時代では大きな欠点であり、ビジネスチャンスにも恵まれないだろう。SNS採用の本格化により、SNSリテラシーが必須要件となるとともに、自分の魅力を積極的に発信し、自力でキャリアを築いていくという意識が不可欠となる。

企業も対応を問われてくる。SNS上に人材情報がオープンになるという環境が整えば、ステップアップを目指した転職による社員の移動が今まで以上に促進されることになる。これまでの日本企業は社員の転職に対する慰留工作(リテンション)に意を払ってこなかった。だが、今後はそうした短期的対策と同時に中・長期的には、社員の意思を踏まえたキャリアの育成と配置にどれだけ貢献できるかも問われてくるだろう。

グローバル化に伴い、日本企業はグローバル人材が払底している状況にある。SNSの登場で企業間の人材獲得競争が一段と激しくなることは間違いない。

※すべて雑誌掲載当時

(小林雄一、的野弘路=撮影)