高橋広敏●インテリジェンス社長。1969年、大分県生まれ。早稲田大学卒業後、インテリジェンス入社。99年取締役、2001年常務取締役就任。人材紹介SD、人材派遣SDなどを経て、08年社長就任。

SNSの登場で人材市場はどのように変化していくのか。転職エージェントを代表するインテリジェンスとリクルートエージェントのトップに話を聞いた。インテリジェンスの高橋広敏社長はフェイスブックやリンクトインを通じて転職する層を「簡易縁故」と規定する。

「労働市場全体では、ハローワークと我々民間の職業紹介機関を通じて転職する人は約60%。残りがいわゆる縁故採用です。SNS上の転職は縁故の延長にある簡易縁故だと思うが、縁故採用に比べ2割、3割増えるとはとても思えない。SNSを通じていわば相思相愛で転職する人が増えたとしても、マーケットは相思相愛で決まる人だけではありません。人材紹介業は、候補者と対面し、その人のキャリアを含めて、より掘り下げて話を聞きながら企業とのマッチングを図ることに価値がある。その価値を今まで以上にもっと高めていく必要性は感じていますが、我々のマーケットがなくなるとは考えていません」

また、情報がオープンに幅広く提供されることで「オファーがたくさんくる人は企業選びに迷い、会社も情報の多さに迷ってしまう。その両者をいかに結びつけていくかに我々の最大の価値があり、それを丁寧にやっていけば我々の役割がなくなるという心配はない」と語る。