情報通信技術を活用する「ICT教育」で、一部の小中学校では「タブレット端末のパスワードを担任に提出させる」という運用が行われていた。ライターの赤木智弘さんは「パスワードを他人に教えるのは論外。子供のITリテラシーを低下させる不適切な運用だ」という――。
スマートフォンを操作する少年
写真=iStock.com/Wako Megumi
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そもそも紙に書き出すこと自体が問題

今年2月初め、茅ヶ崎市で小学生の子を持つ親がTwitterで「学校からタブレット端末のパスワードを書いて担任に提出しろと求められた」という内容のツイートをしているのを見かけた。ツイートによると、学校からのプリントに、「アカウントの付与から1年たったので、情報セキュリティの観点からパスワードの変更を行います」という内容が書かれていたとのこと。さらに、「パスワードを変更して『パスワード変更届け書』に記入の上、提出せよ」という旨が書かれていたそうだ。

投稿者は「意味わからん」と不満を漏らしていた。

この段階で学校側は3つの間違いを犯している。

まずはパスワードを紙に書くこと。次に一度決めたパスワードを1年たったからと変更すること。そしてなによりパスワードを担任という他人に教えることだ。

パスワードを紙に書くという事はソーシャルエンジニアリング、すなわち「パスワードの盗み見」の危険を招くことになる。

総務省は、パスワードの管理方法として、「他人に知られないよう、かつ自分でも忘れてしまうことがないように管理をしましょう」と掲げている。その上で「自分で忘れてしまわぬようにメモを作成した場合は、それが他人に見られることのないよう、肌身離さず持ち歩くなど、厳重に保管をするよう心がけましょう」としており、自分自身の近くに置いての管理を推奨している。

職員室のような自分自身で管理できず、厳重であることも保証されない場所にパスワードが書かれた紙を置いてしまえば、盗み見の危険は増大してしまう。