いま、中国のみならず、インド、ベトナム等のアジアビジネス経験者に対するニーズは高いが、新規立ち上げなど、かなりの激務を覚悟しなくてはいけない。大手企業で欧米での駐在経験がある人材は転職市場に多く出ているが、いま欧米は景況が厳しく、求められるのは事業の立て直しができるような人。そんな人材はほとんどおらず、需給のバランスが合っていない。

ほかにニーズが高い職種としては「法務」がある。グローバル戦略をとる新興ネット企業では、国を越えた係争が日常茶飯事なので英語力の高い法務が不可欠である。が、そんな人材が在籍しているのは大手メーカーであったりしてネット業界とはあまり縁がなく転職したい人も少ない。もし転職希望の人がいれば待遇アップも可能だろう。

また、オーナー企業が二代目へ事業承継するときに、新社長が「番頭」として40歳前後の財務部門出身者やITを理解している人材を採用したいというニーズも見られる。この場合の年収相場は800万~1000万円程度であろう。

5、6年前と比べて管理職に求められるスキルは広くなっている。今後、さらなる人員整理の波が避けられないと考えると、マネジメント能力もあって、かつ英語力や実務能力も高いプレーイングマネジャーが求められる。まずは社内で自分にしかできない仕事をつくり出すくらいの努力をし、社内の実力者とよい関係を築いておくことも大切だ。メールで仕事発注ができる程度の英語力はいまからでも身につけたほうがよい。SNSなどIT系の流行に関する情報も押さえておくべきだろう。

(構成=宮内 健)