「東大卒の天皇」が誕生するかもしれない

秋篠宮悠仁さんに「親ガチャ」についてどう思うか、聞いてみたいものだ。

「第12回子どもノンフィクション文学賞」表彰式にオンラインで出席された秋篠宮家の長男悠仁さま=2021年3月20日
写真=時事通信フォト
「第12回子どもノンフィクション文学賞」表彰式にオンラインで出席された秋篠宮家の長男悠仁さま=2021年3月20日

2021年の流行語大賞に選ばれた親ガチャは、運次第のガチャ(ソーシャルゲームやカプセル玩具などの景品)を1回しか回せないように、親を自分で選べない状況を指した言葉である。

英語にも同じような意味の「Lottery of Life」(人生の宝くじ)という言葉があると、ニューヨーク在住ジャーナリストの肥田美佐子氏がインタビューしたジョン・リスト米シカゴ大学経済学部特別功労教授が語っている。(<「親ガチャという概念は正しい」アメリカ人経済学者が“人生の宝くじ”を否定しない理由>参照)

だいぶ前に、「親を見りゃ オレの将来 知れたもの」という川柳が話題になったが、親ガチャという言葉も、その流れの中にあるのだろう。

悠仁さんの国立筑波大学附属高校(以下、筑附高)への入学が決まったと、宮内庁が2月16日に発表した。偏差値78、都内の高校では、筑波大学附属駒場高等学校と並んで(お茶の水女子大学附属高等学校は女子のみ)、最難関高校である。ちなみに学習院高等科の偏差値は68。

週刊誌報道によると、母親の紀子さんは、息子を東大に入れたいと考えているといわれる。東大卒の天皇が誕生するかもしれない。

もしそうであるなら、悠仁さんには考えてもらいたい日本社会が抱えている深刻な問題がある。

非大卒の子は非大卒…学歴格差が継承されている

大阪大学の吉川徹教授(計量社会学)が主張している、「日本は学歴分断社会」という問題についてだ。

「日本では、最終学歴が大卒(短大卒、高専卒含む)か、非大卒(中学校卒、高校卒、専門学校卒)かによって、社会に出てから大きな社会経済的格差が生まれることが、大規模な階層調査のデータから明らかになっています。

分断とは、二つの集団の構成員が入れ替わらず固定化しており、集団同士が隔てられ、相互交流が少ない状態をさします。いま日本の現役世代は約6200万人ですが、70%以上が親と同学歴です。大卒の子は大卒、非大卒の子は非大卒という形で世代を超えて学歴格差が継承されている。夫婦間の学歴もほぼ70%が同じです」(朝日新聞2月18日付

だいぶ前から、東大に入る学生の親の多くは高学歴、高収入だといわれてきた。親次第で自分の人生が決まってしまう、格差が固定されてしまう社会を、悠仁さんはどう考えているのだろうか。

前置きが長くなったが、悠仁さん筑附高合格の週刊誌の記事を読みながら、私はこんなことを思った。