「野田くんもわかるだろう。いま解散したら民主党はおしまいだからな」

消費増税法案成立に向けて解散も辞さない構えの野田佳彦首相を、民主党の小沢一郎元代表が牽制している。

小沢氏は自らを被告とする政治資金規正法違反事件裁判の本人尋問を1月10日、11日に終えたばかり。公判では「秘書にすべて任せていた」「何も聞いていない」と繰り返し、潔白を主張した。事実審理はこれで終了し、3月19日の最終弁論で結審。判決は4月下旬の予定だ。

「小沢さんは11日の本人尋問を終え、チュリス赤坂の個人事務所に戻ったが、さすがにぐったりしていた。『ここのところ裁判準備ばかりだったからなあ』とか『尋問で同じ質問ばかりされて疲れたよ』とぼやいていたが、ひとやま越えてほっとした様子だった」(小沢氏周辺)

小沢氏復活の前提は、4月下旬に無罪判決を勝ち取ることだが、「小沢弁護団は小沢勝訴に自信を強めている」(司法ジャーナリスト)という。

今後の小沢戦略に関して、ある小沢氏側近は「3月に小沢グループが離党して新党を結成し、橋下徹氏率いる大阪維新の会と連携するべきだ」と強硬路線を唱えるが、小沢氏は昨年暮れの時点で「民主党残留」路線を決断した。

「民主党内に留まり、消費増税反対で首相を揺さぶる。できるだけ早く首相を引き降ろすが、9月まで野田政権が続いたら民主党代表選で決着をつける」(前出・小沢氏周辺)というのだ。

もっともこれには「小沢グループ110人前後のほとんどが選挙地盤が弱い1年生議員。解散総選挙になったら、生き残れるメンバーは20人もいない」(民主党担当記者)という事情があり、首相が解散カードをちらつかせた場合、小沢氏が徹底抗戦できるかどうか。

しかも長年の小沢支配、小沢氏の金権体質に対する政界のアレルギーは強く、野党自民党の中に小沢氏と組もうというグループは見当たらない。新党結成をうかがう石原慎太郎都知事も「小沢抜き」の政界再編が前提だ。

「内閣改造で小沢氏と対立する岡田克也氏が副総理に就任したため、小沢氏の党員資格停止問題も長引きそう。たとえ本人が無罪になっても元秘書3人は有罪。恐らく岡田氏は小沢氏の党員資格停止を解かないだろう」(前出担当記者)

小沢完全復活は絵に描いた餅か。