たとえばトヨタは、いまや世界第二の自動車メーカーであるが、その従業員数をみると、過去十年間に約四万五千人と変わらないのに対し、生産量(スループット)は二・五倍に伸びている。その結果、トヨタの生産性は(ニッサンも同様なコースをたどっているので同じ部類に入るが)諸外国の競争メーカーに比べて二倍程度の高さを誇っている。垂直統合状態にみられる相違を勘定に入れても、この競争力は変わらない。

経験の蓄積の面で競争力に大きな差をつけられた相手に対し、これほどみごとに巻き返すことができたのは、やはりゼロから出発したためではあるまいか。つまり白紙の状態で生産設備と製品を同時に設計できたからである。こうすることにより、トヨタは労働集約性から資本集約性への移行について自動車業界の先駆けをなした。