要するに今の日本人はどの層を切り取っても、坂の上の雲を目指した明治期や1960~70年代の高度成長期のような目線の高さ、アンビションや野心がないのである。それは企業のIPO(新規株式公開)の数にも反映されていて、09年の新規上場企業数はわずか19社。ピークが00年の180社だから10分の1に落ち込んでいる。09年に上場廃止になった企業が60社あるから、差し引きで上場企業の数は減っているのだ。

これに対して、09年の上場数約200社、上場予備軍が6万社といわれる中国はもとより、韓国、台湾、香港にも日本はIPOで追い抜かれている。私は「アタッカーズ・ビジネススクール」という起業家養成学校を15年続けているからよくわかるのだが、新しく会社を興して上場しようという意欲はすっかり減退して、最近は熾烈な競争とは無縁なNPOやNGOを立ち上げたいという人が大幅に増えている。全員が全員、クリーンでグリーンな“目付き”でやってくる。人を押しのけてまで成功してやろうというギラギラしたタイプは皆無だ。この10年間で人種、染色体までが変わってしまった観がある。

若者をけしかけて起業、上場させることにかけては人後に落ちない起業塾の元祖の私が嘆息するほど、日本人の起業精神は萎えてしまった。今から10年ほど前、孫(正義)さんがナスダック・ジャパンを立ち上げたとき、渋谷でビットバレーの若手起業家を集めて大パーティーをやったが、有象無象3000人が集まった。今やったら30人と集まらないだろう。