EUのマーストリヒト条約は各国の財政安定化やインフレへの対策は十分に考慮しているものの、通貨危機やアービトラージ(金利差や価格差を利用して利ざやを稼ぐ取引のこと、さや取り)業者に襲われるのは想定外で、ほとんど無防備に近い。たとえば日本は一〇〇兆円、中国は二〇〇兆円の外貨リザーブがあるから、いざというときには自国通貨の防衛ができる。

ヨーロッパ中央銀行(ECB)が持っているリザーブは二〇兆円。EU各国の中央銀行が持っているリザーブと合わせても四〇兆円しかない。

前出のさや取り業者に襲われるなどして防衛しようとしても、EU理事会を開かなければならない。しかし、ルクセンブルクのような金融立国にとっては、ユーロが強いほうがよく、ドイツのような工業・貿易立国はユーロが弱いほうがいいので、EU理事会で簡単に意見が一致することはありえない。そうこうしているうちに、さや取り業者に売り浴びせられたりしてしまう。