大前 消費税の歴史を振り返れば、消費税を導入するために首相(竹下登氏)のクビが飛びました。消費税を三%から五%にアップさせるときにも首相(橋本龍太郎氏)のクビが飛びました。日本の首相は増税を口にするたびに退陣を余儀なくされてきたのです。(中略) 日本の歴代首相は抜本的な税制改革に取り組むことに躊躇してきました。しかし今日、税制改革は待ったなしの状態です。遅かれ早かれ、消費税は二〇%程度に引き上げざるをえないでしょう。

一方、所得税については最高税率がおよそ五〇%です。法人税については実効税率の五%引き下げが決定されたばかりですが、今のところは四〇・六九%です。

消費税だけを上げるというやり方はきわめて不公平であり、経済活動を停滞させる恐れがあります。したがって、消費税の引き上げと同時に、所得税ないし法人税を緩和するべきです。EU圏の法人税の実効税率は二五%程度に収斂しつつあります。アジア諸国に目を向ければ、中国が二五%、シンガポール、香港、台湾が一五~一七%です。日本はこうした近隣のアジア諸国と競争しなければなりません。消費税だけ引き上げても効果がないのです。

(ジャック・アタリ氏との対談より)