トップマネジメントのコンサルティングをしていて、いちばん当惑するのは、既製服はなくすべて注文服になりますよ、と言ったときに、相手が逆に当惑するシーンに出くわすことである。「おたくのように、年間何百というケースをやっているのなら、うちにもピッタリのものがあるでしよう」と言われて、「いや実はありません」と答えればそっけないし、深く相手の会社を知る前に「これがピタリです」と言えば、プロフェッショナルとして気がとがめる。最も理想的なのは「おたくは他の多くのところをやってきて、十分な成果をあげたと聞くし、うちもこれこれしかじかの問題をかかえているので、うちの連中と一丸となってやってみてくれませんか?」と頼まれるときだろう。

外部の、しかもテクニックを売るのではなく、真の意味のコンサルティングをする人間にとってでき得ることは、このような思考過程を活性化することではあっても、病人の手術に自らメスをふるい、薬を製造し、投薬するということではないだろう。こうしたことは、当該会社自らのトップが、率先して実践してゆかなくてはならないことなのである。