市場をユーザーの目的関数に沿ってセグメント化することが唯一、戦略的にみて意味のあるセグメンテーションのやり方である。というのも、それによってはじめて、共通の目的を持つ明確なユーザーの集団を満足させるに足る、対応性十分な一連の戦略を打ち出すことができるからだ。

たとえば、広い居間でテレビを楽しむユーザーは、高い鮮明度よりも色のバランスを大事にするが、狭いところでテレビを観る人びとの好みはその反対になる、とテレビ・メーカーたちは先刻ご承知である。

けれども、ユーザーの目的関数は、時とともに、あるいは製品の技術進歩やコストの上昇とともに変化しうる。

かつて腕時計は精度によってセグメントされ、それがメーカーの製造原価を決定し、消費者価格を決定した。ところが大量生産の大規模集積回路(LSI)や周波数発振素子が登場したいまでは、精度は問題にならなくなった。目端のきく腕時計メーカーは、早々に製品の強調点を変えている。いまやユーザーの目的を満たすためのセグメントの主材料は、優雅な持ち味と、ハイファッションということになっている。