市場の解剖によって優位を勝ち得たもう一つの日本企業に、フォークリフトのメーカーがある。

フォークリフト市場が要求する製品の性能は、市場の各セグメントによってさまざまに変わること、また、顧客の五社中四社以上は、全市場を満足させるべく設計されたフォークリフトよりも二〇パーセントも安く製造できる製品で間に合うこと――この二つの事実を理解したことが、この会社の出発点となった。

市場をセグメント化し、個々のセグメントの要求するものを見定めたこのメーカーは、小売業と運送業の顧客向けに製品を絞ることにし、対応がもうひとつ難しいセグメント(港湾荷役や切出した木材の搬出その他の材木関係の業務に携わる顧客で構成する)は、競合他社に任せることに決めた。

それによって同メーカーは、目標としてはっきり見定めた市場セグメントに、バリュー・エンジニアリング(VE)の技法を生かした低価格の一連の製品を出荷して、セグメントのなかでたちまち支配的地位を確保することができたのだった。