理想的な車は、カラスが飛ぶように二点間を最短距離で移動できなければなるまい。しかるに、今日の自動車メーカーは、既成概念による製品の能力に限度があることを承知しているにもかかわらず、地球上のさまざまの拘束から人間を最終的に解放してくれるに違いないヘリコプターのような車両の開発には、いま、投資を行なっていない。メーカーは、いまだに鉄道と四つに組んで闘っていると信じているかのようだ。(中略)

ベッドというものは、睡眠のための最善の道具立てだろうか。コンプレッサーで動く空調装置が、部屋を涼しくする、あるいはその部屋の住人たちに涼しさを感じさせる(彼らの目的関数)最善のものだろうか。極端なことをいえば、涼しく感じさせる薬を開発しても同じ目的は達成されるのである。(中略)

答は、きまっているように思えるかもしれない。だが実は、決してそれほどわかり切ったものではないのである。

製品・市場戦略を立案、作成するとき、製品の系列が完全にユーザーの真の目的に合致したものかどうか、あるいは、それを満足させるもっともよい方法がないものか、いやさらに一歩を進めて、よい方法を考えることができないかどうか、疑問を呈してみると、報われることが少なからずある。