隘路、すなわち「ボトルネック」という言葉は、戦略思考で欠かすことのできないものである。しかし、ここで私が問題にする隘路というのは、孫子が兵法の地形編の中で言っている「戦いの場所としての狭い地形の土地」のことではない。何かを成し遂げようとしたときにネックとなる能力や余裕のことである。

たとえば麻雀をやっているとき、洗牌(シーパイ)すなわち牌をかきまぜたあと、上下二段に十七牌積む作業が必要となる。このときにやたらに遅い人がいるが、これがゲームを進める上での隘路、すなわちネックになっている、という用語の使い方を私はしているのである。ここでネックが存在するとどういう現象が起こるかと言えば、早く積み上げた人は、たばこを一服つけ、すなわち「遊んで」しまう。気の利いた人がたまたま仲間にいれば、十七牌でいいのに三十牌ぐらいつくって融通してやる。すなわち隘路がこれによって「解消された」ことになる。遅い人がネックたる理由は、この人のスピードに全体が引きずられてしまって、かりに積み上げの世界記録をもっている人が四人の中にいても、ゲームの進行にはなんら「寄与していない」ことになる。つまり宝の持ち腐れ、という状況になるのである。