(写真=PANA)

スズキ会長兼社長 鈴木 修(すずき・おさむ)
1930年生まれ。中央大学法学部卒。中央相互銀行を経て、58年鈴木自動車工業入社。67年常務、73年専務を経て78年社長、2000年会長。08年から社長を兼務。


 

2年前から資本・業務提携を結んでいた独フォルクスワーゲン(VW)との“離婚”交渉がこじれて、VWが保有するスズキ株の返却を求め、国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てたスズキだが、鈴木会長は「負けると思って相撲を取るやつはいないよ」と、相変わらず強気の姿勢を崩さない。ロンドンで始まる法廷の場にも「交渉したトップの当事者が話すのは当然だ」と自ら出向いて“真実”を述べる意向だ。

1月30日の誕生日で満82歳を迎える。上場企業の現役トップとしては最長老格だが、世界中を震撼させたリーマン・ショック後からは再び社長職も兼務。「ウチのような“中小企業”は赤字を出したらつぶれる」と血のにじむようなコスト削減で危機の回避に辣腕ぶりを発揮してきた。

一方で、30年以上も前から地道に開拓してきたインド事業が実を結び、欧米の大手自動車メーカーをはじめ、日系メーカーでもインド進出に出遅れていたトヨタ自動車やホンダなどを尻目に、インド市場で過半数のシェアを握るほどの稼ぎ頭に育て上げた。

それでも鈴木会長は、スズキという会社を“浜松の中小企業”と謙遜するが、いわばトップダウンで世界の強豪と互角に競い合うほどの“偉大なる中小企業”を築き上げてきたという自負はある。東日本大震災による福島第一原発事故後は、地元・中部電力の浜岡原発に対し、率先して全炉の停止を要請するなど、自らの主義主張を頑として貫く。

これから法廷でせめぎ合う相手は、世界1位の座を虎視眈々と狙う巨大企業である。したたかさではVWに負けない百戦錬磨の鈴木会長だが、“老いの一徹”で、喉に刺さった異物を上手に取り除くことができるか。法廷での証言に注目が集まる。