世界情勢でわかるガソリン高の原因とは

原油価格高騰の影響で、ガソリンの高値が続いている。2021年11月下旬、岸田文雄政権は原油高対策として初めて石油の国家備蓄の一部を放出する方針を固めた。産油国と消費国がせめぎ合うなか、米国や英国、インドと足並みをそろえた格好だ。

原油価格高騰のため、ガソリン価格も急騰中。
原油価格高騰のため、ガソリン価格も急騰中。(時事通信フォト=写真)

原油価格は、産油国が過剰生産すれば下落し、生産を控えれば1バレル80ドルを超えるぐらいの高値となる。2020年秋には40ドル前後だったのが、現在はおよそ2倍だ。

世界の原油市場は、それぞれ事情が異なる産油国の意向が混ざり合って価格が決まっていく。サウジアラビアなどは、井戸元価格(ウェルヘッド・プライス)が1バレル2ドル程度と極端に安い。10ドルで売っても儲かるのに、80ドルでは笑いが止まらない。

OPEC(石油輸出国機構)でいつもでかい顔のサウジは、本音では、原油価格があまり気にならない。ただリーダーシップを示すために「みんな生産量を絞ろう」と言うにすぎない。イランやイラクは、できるだけ多く稼ぎたいほうだ。

中東に比べて、他の地域は生産コストが高い。ブラジルの海洋掘削は、深さ800〜1000メートルぐらいに油田があり、60ドル前後が損益分岐点になる。